経営者の強欲について

 

 その原因の1つは、経営者に「蔓延する強欲さ」であった。経営者による巨額報酬獲得の原因となったストック・オプションは、そもそも株主と経営者の利益を一致させ、経営者を株主価値向上にさらに専心させるためのものであった。

しかしそれは経営者の強欲によって飲み込まれ、エンロンのように、経営者による株価上昇=ストック・オプション益の嵩上げを目的とした粉飾決算が行われた。

株主利益の立場から経営者を監視し、不正行為を防止する役割を果たすはずであった社外取締役は、エンロンの社外取締役がSPE取引の問題点を認識しながら異議を唱えなかったように、本来期待された役割を果たしていなかった。

 このような米国型ガバナンス・モデルの機能不全の根底には、一部の経営者の強欲だけでなく、株価上昇を企業経営の究極的目的とする株主資本主義によって統治機構全体が飲み込まれてしまったことがあると考えられる。